プロメアを推す

 みんなプロメアを愛そうぜ。
 
 いや本当に。この一言に尽きるんですよわたしはプロメアを愛しています。お尻に火をつけられたので金を惜しまず出してるし友達を映画館まで連行してるけどまだ足りない。愛しかないよ……
 というわけで纏まりすらしてないプロメアへの愛を語り尽くそうと思っているのです。ネタバレはしないように心がけてるのでまだ行っていない人も安心して読んでね。そしてそのまま映画館に行こうね。
 
 まずその一。主人公がアツい。
 その男、ガロ。とげとげに立たせた前髪に筋肉質な体つき。見てわかる、これ真っ直ぐおバカな熱血系主人公や。いやその直感ももちろん間違いではない。間違いではないけどそれだけではないのだ。
 バカには二種類いる。ひとつは視野が狭いタイプのバカ。もうひとつは視野が広いタイプなのにバカ。この話、プロメアでは、主人公は前者から後者へと成長する。
 バカであること、無知であることは人を救うことが多い。純真さ。それがどうした、と、からりとしがらみを切り捨てられる朗らかさ。それらも一般的に「バカ」という括りに入れられているからだ。いい意味での、子供っぽさ。世間で「子供っぽさ」が愛される所以はここにあるとわたしは勝手に思っている。
 でももちろん、無知であること、子供であることは残酷だ。無邪気な一言は、悪気がないだけタチが悪い。例え無邪気な言葉に傷つけられたとしても、その人は悪意のない相手のことを責めにくいのだ。傷ついたひとが善良であれば善良であるだけ、その人は無邪気な相手を糾弾できない。さらに傷は深まっていく。なぜなら、ひどい、と払い除けられない言葉ほど自分を蝕むものはないからだ。
 無知なバカは罪だ。でも、物を知るバカは愛される。
 物を知るバカ、というワードは一見矛盾に満ちているように思える。が、「バカ」と「物事を知っている」ということは両立可能なのだ。
 バカは、物を知らないことではない。何故なら、「手段を知った上であえてそれを切り捨てる」という無謀さもバカに違いないからだ。責任あるバカ、とでも言い換えられるだろうか。あえて無難な道を切り捨てて、ハイリスクな道へ突き進む。そこには彼自身の意思がある。誇りがある。そして自己責任がある。
 この物語で、主人公は自分の無知を思い知る。そして、それを受け入れる。受け入れて、それでもバカとして生きる。そこに覚悟が生まれる。意志が生まれる。信念が光る。その過程が、堪らなくアツい。
 
 その二。リオくんがいとおしい。
 ガロが無完全な主人公なら、リオくんは完成されたライバルだ。いやもう見てわかるじゃん。容姿からして完成し尽くされている。造形美。もうリオくんの顔面拝むだけで寿命1万年延びそう。リオくん~~!!!!!!! あと1000000回会いたい
 もちろん、内面も完結している。バーニッシュとして生きるその誇り高き姿。そしてやさしさ。他人を思いやれるやさしさ、感受性、これについてメチャメチャ具体例を挙げつつ語り尽くしたいけどネタバレになりかねないので血涙を流しつつ口をつぐみます。リオくんはいいぞ。死ぬまで会いたい
 
 その三。映画館だからこそ生きる超絶アクション、音楽、映像美。
 ぜひとも円盤まで待たないで映画館のあの音響と大画面でプロメアを浴びてほしい。ポップでキュートな色づかいで繰り広げられるハードなアクションシーン。最高にカッコいいBGM(BGMが入るタイミングが本当に気持ちよすぎて毎度毎度アドレナリンどばどば出てしまう)。エンドロールの色づかいまで拘り抜かれたハイセンスさ。本当に見てほしい。あれは浴びるタイプの栄養剤。ただしあまり前すぎる席で観るのは気を付けよう、普通に情報過多でヒートする。
 
 その四。がっつりアクションの裏に蠢く、凄まじいほどの感情の波。本当にプロメアをただただアクションものエンターテイメントとしてだけ消化するのメチャメチャにもったいない。プロメア一回摂取だけでここまで求めるのは酷かもしれないが、どうか登場人物ひとりひとりの感情のうねりこそに心動かせる人間でありたいものだ。正義。信念。敵意。憧憬。挫折。裏切り。怒り。自己嫌悪。劣等感。信頼。そして愛。それらすべてが異常なまでにひしめきあって水面下で波打つ。それなのに全く嫌味がない。むしろ爽快感すら感じさせる。これこそがこの作品の最大の魅力だとわたしは確信している。これに関してはひとつひとつシーンを列挙していやというほど語りたいけどネタバレになるので今は口をつぐみます。つらい。
 
 ほんとうに、本当に魅力たっっっぷりの『プロメア』をどうか今後ともどもよろしくお願い致します。まだ間に合う。今ならまだ間に合うんだ行っていないあなたは今すぐ予約してくれ頼む。行ったことのあるあなたはもう一回行っておこう。一度上映が終わったらもう二度と映画館では見られない。そして観たひとはわたしに感想を送りつけてください。