6/17

電車に揺られている。 本当は黒いワンピースを着ていこうと思っていたけれど、着替える直前になって、思い直した。かろやかでもっと綺麗な服で会いに行きたいと思った。会いたいと思った、なんて文字を打ちながら、内心でわたしは苦笑する。まぁ、そこに彼女…

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電車に揺られている。 本当は黒いワンピースを着ていこうと思っていたけれど、着替える直前になって、思い直した。かろやかでもっと綺麗な服で会いに行きたいと思った。会いたいと思った、なんて文字を打ちながら、内心でわたしは苦笑する。まぁ、そこに彼女…

底の記録

なにもしたくない、なにもうごきたくない。 ゆるやかに頭上を抑えつけるような、透明な倦怠感。夜が静寂を吐き出すように、脳髄が無色に覆われていく。スマホの画面を、ぼうと眺めていた。文字の波で指先を濯ぐこと、動画を眼球に映すことさえ、気怠くて堪ら…

あのときのはなし

「スズムさんがわたしの世界の中心です」 こう名乗りをあげることが多くなった。おどけてこんな風に自己主張してみれば、周りのかわいいこたちはころころと笑ってくれるのだ。笑ってそう主張できるようになったし、笑って受け入れてくれる人たちが周りに存在…

雨に踊る

雨上がりの町ってどうしてこんなにも美しいのだろう。 さっきまで降り続いていた雨は、わたしが玄関の扉を開け放つちょっと前にぴたりと鳴りを潜めた。雨上がりの匂い、降り注ぐ光の雨。アスファルトは水に溶かした空の色。町全体が薄い水色で覆われて、さら…

プロメアを推す

みんなプロメアを愛そうぜ。 いや本当に。この一言に尽きるんですよわたしはプロメアを愛しています。お尻に火をつけられたので金を惜しまず出してるし友達を映画館まで連行してるけどまだ足りない。愛しかないよ…… というわけで纏まりすらしてないプロメア…

ゆめのはなし

天衣無縫、という言葉に突っかかった。 昨日の帰りにわたしが書いていた小説の一部分だった。読み直して、手直ししているとき、ちょうどその言葉に突き当たったのだ。天衣無縫。その言葉が何故かわたしの心を波立たせる。厚い氷の下の冷たい水。無意識という…

思い立ったが

忘れたくないことがある。 それはわたしにとって重荷でしかないし、俗にいう「忌まわしい思い出」といったものなのだろう。でも忘れたくないな、とここ最近強く思うのである。 電車に揺られて、満員電車の物凄い人圧にも慣れ、新しい友達にも慣れてきて。わ…